シリコーン100%樹脂塗料「バッファーコート」

建築で40年以上の実績 橋梁補修へ販売を本格化

特殊建築材料の販売などを手掛けるクラタ・テクノシステム(東京都練馬区、倉田公男社長)のシリコーン100%樹脂塗料「バッファーコート」が、このほどNETISに登録された(KT-220094-A)。首都高速道路会社の新技術サイトでも審査を経て公表されている。この塗料は建築分野で40年以上の実績を持っており、今後、鋼橋塗替えなど橋梁の補修市場への販売を本格化する。

 施工手順は、素地調整程度3種で浮きさびや、異物を除去した後、この塗料をローラーや刷毛で2回塗布する。最少3工程で、大幅な工程短縮が可能だ。

膜厚は、被塗物の材質に応じて対応できるという。

 バッファーコートは2種類あり、そのうちNS製品の特徴は、

①シリコーン100%樹脂のため、塗膜の伸び率が300-500%で、母材の伸縮に追従する線膨張による塗膜はく離が生じない

②1液型で材料混合の手間が不要

③ガス透過性があり、水蒸気を通す

④有機溶剤を含んでいない

⑤成膜後は低温の-50度~高温の200度の範囲で塗膜変化が無いため、冬季施工も可能―などが挙げられる。

 京都府京丹後市の城嶋橋(2019年)、福島県郡山市の赤目立2号橋(20年)などで使われた。

 同社の倉田公一取締役営業本部長は本紙の取材に、「自治体など道路管理者の予算が限られる中、まずは特に劣化が著しい箇所や、ブラストによる素地調整が困難な部位をターゲットに展開していきたい」と語った。

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東北大学の庄子哲雄名誉教授は、千葉県南房総市沿岸部の建屋H鋼柱にバッファーコートの原型シリコーン樹脂100%塗料を塗装し、40年経過後も外観が健全な状況を調査。その詳細を日本防錆技術協会「防錆管理」6月号に「さびが抑制」と結論付けて報告した。(「橋梁通信」2022年8月15日号掲載)

赤目立2号橋(クラタ・テクノシステム提供)

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