参議院議員 足立敏之氏
創刊記念インタビュー
足立敏之参院議員のホームページ冒頭に、大きく「あくまでも現場主義で」の文字。
フェイスブックには連日、各地の現場を走る姿が紹介されている。足立議員は何を考え、何を訴えたいのか。
海峡横断プロジェクト 効果の議論を 渡るべき場所は渡れるように
足立 紀淡海峡大橋、豊予海峡大橋、伊勢湾口道路、東京湾口道路などの海峡横断プロジェクトは2006年にすべてを凍結していますが、私は日本という国の形を考えた時に、結ぶべき所は結ぶべきだと思います。諸外国、例えばトルコではボスポラス海峡に複数架橋のほか沈埋函を建設しています。米国のサンフランシスコやニューヨークなどを例に見ても、渡るべき場所は渡れるようにしているのが自然な流れです。日本は残念な方向に舵を切ってしまったのではないでしょうか。四国地方整備局長時代に、四国で暮らしてみて本四架橋が3本あってしかるべきだと思いました。
これからの日本を考えた時、海峡横断プロが生み出す効果なども、皆で議論していく必要があると思います。少なくとも第二関門海峡は、交通量が過重となっていることもあり、さらなるネットワーク強化を図る手立てを早期に実施する必要性があるでしょう。
日本のインフラは2流、3流になってしまったのではないか
足立 今日まで、日本のインフラは世界に冠たる一流のものだと自負してきましたが、ここ20年間で公共投資を疎かにした結果、かなり悪影響が出始めているように感じます。
今年の正月にラオスのダム現場を視察後、タイの首都バンコクに立ち寄りました。空港からバンコクの中心市街地に車で移動した際、片側4車線、5車線の道路が整備されていました。日本に帰国後、羽田空港から自宅まで高速道路を利用したところ、片側2車線しかありません。日本のインフラは本当に一流と言える状況だろうか、今や他国と比べて二流、三流になってしまったのではないかと疑問を感じました。
日本の高速道路の整備状況は約1万㎞です。同じ島国のイギリスと比較すると、同国では面積が日本の2/3にもかかわらず、延長1万2千㎞整備されています。ショックだったのは、イギリスの高速道路の3/4が片側3車線以上です。日本は残念ながら片側3車線がわずか7%で、片側1車線が3割もある。その意味からも、日本は適切なインフラ投資もできない貧弱な国になってしまったのかと危惧しています。(続きは「橋梁通信」2018年4月1日号でご覧ください)
足立敏之(あだち としゆき)氏
1954年(昭和29年)京都府福知山市生まれ。京都大学大学院修士課程修了。建設省(現・国土交通省)に入省し、河川局河川計画課長、四国地方整備局長、水管理・国土保全局長、技監などを歴任。南海トラフ巨大地震・首都直下地震や地球温暖化に伴う水害土砂災害など大規模災害への国の対策計画を策定し、TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)の創設、近畿自動車道紀勢線・北近畿豊岡自動車・四国8の字ネットワーク・東海環状自動車道・伊豆縦貫自動車道などの整備促進に携わった。2016年(平成28年)の参院選・比例代表に立候補して当選。国土交通委員会などに所属し、「建設産業の再生」「社会基盤の着実な整備」「地方の活力の再生」「安全・安心な国土づくり」などの政策を掲げて活動している。